不事由

職場の人たちと焼き肉を食べに行った。そのうちの1人、今の仕事ではあまり関わりのない先輩の持つ、常識と切れ味と可愛さと包容力が混ざったありようには、会うたびにウロコが落ちる。先輩は1つの的確で具体的なアドバイスをくれた。それをどう使うかは、私次第。

木ノ下歌舞伎「義経千本桜」を観に、桜木町横浜にぎわい座というところに行った。歌舞伎の素養が絶無な自分を嘆きつつ、こういう境界に配置する作品の存在は貴重だと思った。わからないところは多かれど、楽しめた4時間45分だった。立蔵さんは真っ当に綺麗。この人はずっとカミサマをやったらいいなあと思っていた。最後の超みんな楽しそうなとことか、舞台の醍醐味だよなあ。

そのまま夜は下北沢のシアター711で劇団スクランブル「Shambles」を観た。中根さんの外国人俳優みたいな格好よさや、もみさんの空気を引っ張る凛とした佇まい、さえさんの周囲を引き受けた自然な演技がよかった。脚本の構成は見事で、目指すところもすごくわかりやすいのだが、なにかテンポを崩す要素があって、残念ながら世界に入り込んで行けなかった。

胃袋に詰め込みたい欲求が高まるときは、なにか目を逸らしたいものがある場合が多い。振りまわされないよう、そういった1つ1つの「派生したもの」を取り除いて行くと、大切なものに向き合うことができる。私は「派生したもの」に大きく振り回されてしまうのだが、目指すところを見据えていれば、それでも辿り着くのは不可能ではない。はず。