(16)支援者

 

誰かを支援しようとしたとき、

ぱっと見と同じような問題でも、正解は異なりうる。

支援者の立場からすると、こういうときに取りうるいくつかの選択肢の中から、

どれをベースにするか、そしてどうチューニングして実行するかという課題がある。

 

一般的には、どんな問題でも解決するような解決策などはなくて、

個々の状況に応じて正解は異なる。

だから、問題解決の前段には、よく話を聞いたり調べたりして、

これがどんな状況・問題であるかを特定した上で、解決策を特定する、

あるいはアタリをつけて、そこでやっと解決策の実行に進む。

 

この前段と後段の過程は混じることもある。

大まかな情報を把握した時点で当面実行する解決策を決定し、

その効果を見ながら、状況・問題把握を深めるような場合だ。

 

個々の解決策には効果と副作用があるから、

ある程度効果があるだろうと思える解決策であっても、

副作用の影響が心配な場合、実行を避けたり、副作用を減らす工夫と併せて行う。

 

適切に使えば効果のある解決策でも、使う場面を間違えると、

効果が出なかったり、害を及ぼしたりする。

だから、支援のしかたを検討するとき、状況・問題と解決策とがマッチしているか、

という観点はとても重要だ。

前に似たような事例でうまく行った体験があったり、

似たような事例でうまく行った話を誰かから聞いたことがあると、

同様の解決策が今回も役立つのでは、と思うが、

実は早とちりだったりする。

ミスマッチも、おおもとの方向性から間違っていることもあれば、

ちょっとしたチューニングが合ってないような場合もある。

 

ミスマッチ以外の部分で、ある支援が批判されることもある。

たとえば、ある方法は、どんな状況であっても選ぶべきでないとされる。

多くの場合に害をなしたり、その害が致命的だったりする場合、

たとえわずかな事例で役立つことがあっても、選ぶべきではないとされる。

あるいは、その方法に通底する理念が極めて認めがたいような場合。

 

それから、目指すべき目的が批判されることもある。

その場合、たとえ目的を達成したとしても、よくないとされる。

 

批判の対象である「わるさ」をどこに帰属するかということも、いくつかの観点がある。

個人に帰属する場合と、環境に帰属する場合。

環境というのも幅があって、単にきっかけとなる刺激を指すこともあれば、

反復して同じような問題を生じさせるしくみ、構造を指すこともある。

個人といっても、行為を行った者、行為を受けた者、管理監督者、周囲の者など、

いろいろな捉え方がある。

 

パターン・ランゲージが捉える「よさ」と「わるさ」。

 

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