(24)夜桜

花見のタイミングは逸したけれど、

夜道を歩いていると白いかたまりに静かに出あう。

歩いているわたしは、仕事のことや、家族のことや、なにやかにやを考えて、

ちょいと眉間にしわを寄せながら、速足ですたすたと歩いている。

あるいは酒にまみれたり、タブレットにうつつを抜かしている。

そんなとき、はっ、とちょっと、息を飲む。

気がつくと近いところに夜桜が映えている。

一瞬時が止まって。

すぐにまた動き出して。

時間はさらさらと流れ続けていく。