(28)地黒

仕事で夜遅かったり、朝早かったりして、

帰る途中も、帰ったあとも、もうつかれきってしまっていて、

選択肢がなーい、可処分時間がなーい、

て、思ったりするのだけど、

でも、よく考えたら、可処分時間は1日24時間あるはずで、

それが12時間になってしまう奇病にかかった訳じゃない。

(だよな?)

 

なにが私の時間を減らしているように見せているのだろう。

それはつまるところ、自分の望む時間の使い方ができていない

ということなんじゃないか。

自分の望むように使える時間こそが、自分の時間なのか?

え、と、そうなの?

 

じゃあ、望むようにってなんなんだろう。

なんで私は、望まない時間の使いかたをしてるんだろう。

え、そうなの?

望んでないのに、しぶしぶ?いやいや?やってるの?

 

目の前に色とりどりのケーキが並んでるときの気分。

えっとー、どーしよーなにから食べよーつか全部食べよー

でも何から食べよー

的ななにか。

と、とにかく腹に何か入れなきゃ的ななにかとは、

モードが、ちがうよね。

 

モードがね、このサツバツバツサツとしたモードが、

なんかちょっと長く続いてて、ほんで、

それにちょっと飽きてきてるんじゃないかね。

つかれるしね。

家に帰るとちょっとずつものがなくなっている生活。

身近な人が心配してくれるけど、事情を話すのはちょっとおっくうな生活。

 

なにかに、ボットン、没頭、しているとき。

ほかのなにかが入ってこなくて、自分のすべて、ほとんどすべてを

ひとつのものに注いでいるときのかんじ。

なんかちょっと、あともどりできない感じ、でも実際には、

ちょっと体の向きを変えてやれば簡単にそこから外れることができる。

外れたがらないことをしつづけているのだわたしは。

外れたがらなつづけることをしつづけたがっているのだわたしは。

 

たちくらという、女優?俳優?役者?なしりあいのひとが、

SNSでおよいでいるのをみかけてけっこう気になっているのだ。

わりと暗めな生活を、ときどきそういう光が照らすから、

ふいに顔を上げたりして、そのアップダウンでもって、

うっかりすっかり、よろよろと、ふらふらと、歩きつづけているのです。