(45)傷つけるもの

ちょっと前に、「先生の白い嘘」というマンガを読んだ。 

先生の白い嘘 コミック 全8巻セット

先生の白い嘘 コミック 全8巻セット

 

 男性と女性というものについて、なんとなくずっと気になっている。
この漫画が持ち込むものがどうも気になるのも、鳥公園の作品が引っかかるのも、LGBTが気になるのも、フェミニストっぽいアカウントをフォローしているのも、そこから来ている、のかもしれない、と思っている。

この手の作品は、私にとって必ず消化不良を起こす。わかるようで、あんまりわからない。ピンとこない。無自覚・無意識が揺さぶられるのだけど、一気に意識の世界にやってはこない。おぼろげなイメージが浮かんで漂って、それはすぐに消えてしまう。

 

世の「男性」がある役割を担い、それを行使し、それは「女性」を傷つける。ある「男性」はそこから逃げ出そうとする。ある「女性」はそれを批判し、別の「女性」はそれを肯定する。そこから派生して、「女性」同士にも力動が生まれる。
私は、男性として生まれて育ち、その役割を担い、行使し、女性を傷つけてきたんだろうかと思う。おそらく自覚はない。でも、やっていないことと自覚なくやっていることを、主観で区別するのは難しい。とはいえ、人の意見も客観的とは思えないこともある。小骨が喉に引っかかったまま、少しずつ腐っていっているような感じ。それはもはや呪いと言っていい。

ビッグワードさにうんざりするものの、そのストーリーに知らず絡めとられて、あまつさえ人を傷つけているというのは恐ろしい。「差別」というものも同様に気になっているのだが、こういう無意識に潜みがちな暴力的なものについて、コントロールできるようになっていきたい。それは死ぬまで時間をかけて、ゆっくり発達していくべき課題。それには、折に触れてじっくりと掘り下げて考えることや、耳に痛いことから学ぶことや、実際に行動を変えてみることが必要になってくるだろう。