(46)モリ

仕事とか、育児とか、まったく関係のないことをしていると、ちょっとそのことを忘れていられるが、ひと息ついた途端、溜まっていたかのようにすぐさまあのことが頭を占める。

もしくは、生活の中でなにげないものが、彼やあのことを想起させる。

 

テレビドラマを見ていると、意外と死がありふれていて、そのたびに反応してしまう。
陰のある登場人物の、過去に親しい人を亡くしたエピソードが語られるとか、よくあるパターンだ。
その瞬間、量は増えて、でも一方で、ちょっと薄まるんじゃないかという感じもある。

 

意識をしていると、毒を装備しているように、やたらと消耗する。
意識していないときに、どんな影響があるかはわかりにくいが、食事と睡眠は崩れかけて、あるいは崩れて、立て直そうとしたりする。
そういう身体性で、今は生きている。

 

まさかある日突然当事者になるなんて、思ってもみなかった。
思ってもみなかったことも、悔やまれる。