(142)パートナーシップを想う

パートナーと、すごく仲の良い友人は、何が違うんだろうか。
私がLGBTに関心を持つのは、そういう根本的な問いに答えが出ていないからかもしれない。

これは、私にとって切実な問いだが、現実的ではない。
すごく仲の良い友人なんてものはいない。
人と関わろうとするときに、パートナーとなりたいと思うことと、ただ、すごく仲良くなりたいと思うことは、何が違うんだろうか、ということが私にはわからなくて、人生をよく生きるためにそれをわかりたいのだ。

私が暮らす領域に適用される日本の法律では、戸籍制度の中に婚姻制度が組み込まれていて、配偶者は1人、パートナーシップは1対ということになっている。そして、多くの人は概ねそれを違和感なく自分の価値観としており、既にパートナーがいる者が、そうでない者と親密になることに否定的な文化がある。不倫や浮気が、当事者の感情を越えて社会的によくないものだと言われる風潮は、確かにある。

そういう制度や文化を維持することには、社会としてメリットがあるのかもしれない。

自治体によっては、法が禁止している同性同士のパートナーシップを認めるところも増えてきているようだが、1人が複数の者とパートナーシップを結ぶことは認めていないと思う。
自分がポリアモリーの当事者かというと、よくわからない。ただ、一般的に、「アモ」には人の多くのエネルギーが使われ、多くの人は、キャパシティ的に2人以上のパートナーシップを結ぶことのハードルは高いのだと想像する。特に、新しいパートナーシップを形成しようとすることに必要なエネルギーは膨大なので、仕事とか、趣味とか、自分のエネルギーの多くが別のところに注がれているときは、パートナーシップの形成・維持に手が回らないことはあるだろう。ただ、これは大いに個人差があって、そこまでエネルギーを注がずともパートナーシップを形成・維持できる方法はあるし、個人の指向として、特定の人に多くのエネルギーを注ぐことを好まない場合もあるだろう。働き方のアナロジーで考えると、1つの会社にフルタイムで勤務するのは、いろいろな意味で便利だが、そうは思わない人だっていくらでもいる。

私は、そんなに元気ではない。だから、複数パートナーシップを結ぼうと思うことは、これまでなかったし、これからもないだろう。でも、ちょっと共感する部分はある。

 

その人をいいな、素敵だなと思ったことは間違いない。
その人のことをもっと知りたいと思ったことも間違いない。
その人と、仲良くなりたいと思ったことも、間違いない。
それは、現在進行形で、真実だ。