(296)ナレッジ・マネジメントのその中

組織で情報を共有するってのは、簡単なようで難しい。ある情報を入手したその時に組織内で共有するヨコの共有もそうだし、担当が変わったり時が経ったりするときのタテの共有もそうだ。どちらも、ある程度はルールによって担保されている部分もあるが、相当の部分は標準化されておらず、個人任せになっている。それで、結局穴があき、穴を埋めるのにリソースが取られる。非常にくだらない。きっと世の中には、こういうことをうまくやっている組織なんていくらでもあって、でも私がそのナレッジと断絶してしまっているだけなのだ。誰もが未知の課題に向き合わなければならない、コロナみたいなものとはきっと違うのだ(コロナだって、見る人が見れば、既知のソリューションが実行されないだけなのかもしれないが)。

都度都度のタイミング、あるいは定期的に、頭の中かメールボックスにしかない情報を、格納していくことで、ヨコとタテの問題は一気に解決するんじゃないかと思っている。引継書をゼロからいきなり作ろうとしたり、前任の引継書をベースにしようとする時点で間違っている。我々の異動のスパンは1年とか2年とかで、比較的早いほうではあるけれど、それでも十数ページに収まるようなものではないし、人間の記憶はそんなに容量がない。これができて、あとは外のナレッジにうまくアクセスすることができるようになれば、さまざまな問題への対処法を積み上げて、よりよい実践を積み上げていけるようになるのではと思っている。それはパターン・ランゲージにも通じるだろう。