溜水ひたひた

よろめきながら走ってる。
どこを走ってるんだろう。

家に早く帰ることが、幸せの大きな分岐点なんじゃないかと、
一瞬本気で思って、次の瞬間そりゃねえだろと思いなおし、
でもそうかもしれないという感じはわずかに確かに残ったまま。

ぐらつきながら走ってる。
止まると転んでしまいそうなほど。

自分を見失うっていうような状態にいる。
即座に対処しなければならないような危機ではないけれど、
じんわりと分泌された毒が、少しずつ自分自身を狂わせてく。

楽しさと、嬉しさと、喜びと、気持ちよさと、憧れと、ときめきと、わくわくと、安心と、懐かしさと、暖かさと、に包まれながら。
不安と、苛立ちと、息苦しさと、おっくうと、自己嫌悪と、羨みと、切なさと、悲しみと、絶望と、に揉みくちゃにされながら。

向き合うしかないんだろう。
わたしは、こういうものを箱に仕舞って、締め出して、切り替える、ということが、ほんっとうに下手糞だ。
とことん落ち込んで、うざったくなって、ゾンビみたいに腐臭を発して、それで行きつくところまで行くと、ようやく好転するのだ。
一歩ずつしか進めねえなら。