名づけ得ぬ質

ひとつの職場での最後の出勤日を迎える。
ここでの人との出会い、仕事との出会い、子の誕生や転居などの生活の変化、それらにともない感じたことのさまざまが、音も立てず、もやのようにうっすらと濃度を高めて湧き立ってきている。
これをまるごと言葉にすることは、なかなか難しい。表現力の臨海事故だ。

これを抱えて、忘れて、わたしはたぶん、もうしばらくは生きていく。
だからこれは、終わりではない。始まりの終わりなんだ。