「生きるように働く」を読んだ

「日本仕事百科」ナカムラケンタさんのこれまでの仕事、その根っこにある価値観や考え方、そして彼がこれまで出会ってきた人たちの語りを通じて、生き生きと働くこと、人が生き生きとする場所をつくることについて、考えを深めるガイドとなる本。

「自分の時間を生きる」(ように働く)とは何か。
と、ナカムラさんは考える。

自分の時間を生きている人はまるで成長した木のようで、種に水やり、発芽し、枝を伸ばして今に至り、これからも育っていく。
それを言い換えるなら、様々な生き方をしている人たちと出会い、その中で自分のやりたいことが見つかったならまずはやってみて、その時々に生じるさまざまに向き合いながら調整していくことなんじゃないか。

ナカムラさんの場合、「いい場所をつくりたい」というのが種だった。
いい場所とは何か、と考えていると、それは人がつくることに気づいた。そして、人が自分に「ぴったり」の場所を見つけられるような、求人サイトを作った。
話し手、読み手、書き手の視点を行き来することを大切にしながら文章を書き、競争になりにくいやり方を見つける。
インターネットだけでは足りないものを探して、オフィスに併設したバーをつくり、いろいろな生き方・働き方をしている人と直接話せる機会を作った。

そんな、ナカムラさんのこれまでの歩みが順に語られる合間合間に、20人を越える人たちのインタビューが挟まれる。
何十年も空き家だった古民家を修復して宿にした「群言堂」松場さんの、今まで流れてきた時間とつながるはなし。
眠っている不動産の活用案を集中的に考える「リノベーションスクール」を運営する嶋田さんの、社会が変わると建築家の役割も変わっていくはなし。
「MIRU DESIGN」代表の青木さんが放置自転車を解決するためにつくった、押しつけがましくなく、ポジティブな意識が伝わっていくしくみのはなし。

人と出会うのがへたくそなわたしは、愛宕リトルトーキョーで出会い損ね、それでもきっと出会いたくて、この本を手に取り、読み、そしてブログを書いてみた。

→少し続く