(209)祖母に届け

さすがに段々わかってきた。「まとまった時間ができたらやろう」と思っていることは、実際にまとまった時間ができても「やりはしない」のだ。つまり、本当の制約要因は、まとまった時間がないからではないのだ。あるいは、以前は本当にそれが制約要因だったかもしれないが、あまりにやらずにいるうちに、別の理由がへばりついてきて、より強固になってしまっているのだ。しかも、その本当の制約要因は意識されていないので、対処されることがなさげである。ヒドゥン・ボトルネック。英語にするのは、ただカッコいいから。

両親と話しながら、施設に入所中の祖母とコミュニケーションを取る方法について提案する。ネット環境の見直しで余った激安Wi-Fiと、すでに使っていない1つ前のアイパッドを持ち込んで、デジタルフォトフレームにしたらどうかと言ってみた。そしたら、ひとりで写真を眺めるのはあまりニーズがないよと言われ、むしろテレビ電話をできるようにしたいと逆提案があった。昨今のウィズコロナのお陰で、ZoomにLINEにTeamsに、MessengerにFacetimeSkypeに、Cisco Webexなんてものまで試していたが、祖母とのコミュニケーションツールとして考えると、①難しい操作や臨機応変な対応はいらない、②耳が遠いので視覚的なチャンネルを確保する、ということがマストになる。

①については、アプリを起動してなくても、開いてなくとも、相手から着信があったら自動で画面が切り替わることが必要だ。自分からアプリを開いて確認しなければならないようなものは現実的でない。それから、プライバシーに配慮してだと思うが、受信した側のカメラはオフになってるものが多い。オンにするひと手間を覚えたり、依頼するのは、意外とハードルが高い。②については、音声認識を当初考えたが、音声認識は程度の差はあれ誤訳が生じることと、網羅的に文字化しても情報が多すぎるということで、チャット機能のほうがよいのではということになった。ただし、ビデオ通話の最中に、わざわざチャット欄を開かないと見られないようなものは現実的でない。

そんな観点からいろいろ検討したら、FaceTimeが最適ということになった。受信時はボタン1つ(スリープ状態だと2アクションが必要)で通話開始できるし、カメラもデフォルトでオンにできる。チャットはエフェクト機能を使うと、ビデオ画面に張り付ける形でずっと文字を残すことができる。ピンチすることで文字の大きさも任意に変えられる。

あとは、祖母にモチベーションを持ってもらえるようにプレゼンするという難題が残っているのだが、それは周到に準備をしたい。元の案のデジタルフォトフレームも、おまけでつけたらいいと思っている。続報を待て。